核家族が普通になった現在、一人暮らしを余儀なくされている老人は多くいます。
政府は老人福祉に関して、最後まで住み慣れた環境で暮らせることを前提に福祉行政を進めようとしています。家族が一緒になって、介護力を高めないと、福祉分野への支出が膨大になってしまうという危機感が背景にあります。
もちろん何世代も一緒に暮らしていけるような社会であればそれも可能でしょう。
でも戦後の高度経済成長を経て、誰もがそれぞれの価値観で生活し始めると、おのずから核家族化は進みます。住宅事情もそれを後押ししています。
2世代、3世代が住める家がどれほどあるのか。考えたことはありますか?
マンションでも5人家族がせいぜいです。
同居もできず、老人だけが取り残されて一人暮らしになっていきます。できるだけ世話になりたくないという気持ちがあるのも事実ですが、現実問題として、同居するとなると、一人分の居室を確保しないといけない。ましてや車いすや歩行器、ポータブルトイレが必要になったときの考えると、住宅にその余裕がないというのも大きな理由になっています。
好むと好まざるにかかわらず、老人の一人暮らしは増えていくのです。
経済的な負担があっても、老人ホームや介護付き高齢者専用住宅が必要になる理由はそういったところにもあるのです。