noyonoyo’s blog

老人ホームで感じたこと、気が付いたこと

介護と家族

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 誰しも住み慣れた家で、家族に看取られて逝くことを願っておられます。

 

家族もできればそうありたいと思うのでしょうが、現実は…。

 

誰しも歳をとると体が弱ってきます。病気になることもあります。車いす生活を余儀なくされるかもしれないし、認知症状がでるかもしれません。

 

いったいいつまで続くのか。先の見えない介護生活が始まります。

 

明日までか、一か月後か、あるいは何年も介護をしなけければいけないのか。

 

それでも家族でやると決めて、やりきった方もおられます。

 

世間の目を気にして、家族で何とかしようと気を張っておられる方もいらっしゃいます。

 

介護のネグレストや家族による虐待もめずらしい話ではなくなっています。

 

悲しいことですが。

 

でも介護者は疲弊しています。

 

ショートステイをうまく利用したり、老人ホームの入所を考えるのは恥じることではありません。

 

医療医機関や地域の保健課に相談しましょう。

 

介護者が心を病む前に。

 

一人暮らし

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核家族が普通になった現在、一人暮らしを余儀なくされている老人は多くいます。

 

政府は老人福祉に関して、最後まで住み慣れた環境で暮らせることを前提に福祉行政を進めようとしています。家族が一緒になって、介護力を高めないと、福祉分野への支出が膨大になってしまうという危機感が背景にあります。

 

もちろん何世代も一緒に暮らしていけるような社会であればそれも可能でしょう。

 

でも戦後の高度経済成長を経て、誰もがそれぞれの価値観で生活し始めると、おのずから核家族化は進みます。住宅事情もそれを後押ししています。

 

2世代、3世代が住める家がどれほどあるのか。考えたことはありますか?

マンションでも5人家族がせいぜいです。

 

同居もできず、老人だけが取り残されて一人暮らしになっていきます。できるだけ世話になりたくないという気持ちがあるのも事実ですが、現実問題として、同居するとなると、一人分の居室を確保しないといけない。ましてや車いすや歩行器、ポータブルトイレが必要になったときの考えると、住宅にその余裕がないというのも大きな理由になっています。

 

好むと好まざるにかかわらず、老人の一人暮らしは増えていくのです。

 

経済的な負担があっても、老人ホームや介護付き高齢者専用住宅が必要になる理由はそういったところにもあるのです。

 

 

家族の虐待

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家族ってなんだろう 

考えさせられるニュースが毎日報道されます。

 

育児のネグレストや子どもへの虐待、同居家族の引きこもり、同居親への虐待…

 

どれも、ほん身近でいつでも起こりうる状況であるだけに同情したり、恐怖を覚えたり、様々な感情が交錯します。

 

介護現場でもよく目にすることです。

 

あるとき、地域の厚生委員から連絡があり、老人ホームに入居した方のお話です。

 

おとなしそうなおじいさんでした。介助すれば少し立位が取れる。手すりを使って1、2歩歩ける、座位は問題なし。車いす使用の方です。ご自分ではトイレにいけないのでおむつを使用しておられました。

 

入居してこられすぐにおむつ交換と、更衣介助を行いましたが、体を見てびっくり。足の脛や腕に白い丸い斑点がいくつもあります。ご本人に、どうされました?と伺うも、何でもないと口をつぐんでしまわれます。

 

あとで担当ケアマネージャーに聞いたところ、同居家族からの虐待があり、白い斑点はたばこの火を押し付けられたためにできたやけど跡だとのことでした。

 

子どもでもそうですが、家族から虐待を受けていても本人はそれを外部に漏らしません。世話になっているからー…

 

自分の親なのによくそんなことができるなという声が一般的ですが、家族もまた介護で疲弊している。そんな現場は、実はよく見る光景でもあります。

 

お亡くなりになって、空になったベッドを見て、家族の方はどんな思いでおられるのだろう。せいせいしたのでしょうか。それとも悔悟の念を持っておられるのでしょうか。

 

どうすればお互いを敬いつつ、優しく接することができるようになるのか。せめて介護現場ではそのように接していきたいものです。

 

介護現場のカスハラ その2

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訪問介護で、伺った時です。

その方は、ご高齢の女性でほぼ寝たきり。要介護4。食事の支度と食事介護、後片付けが主な業務でした。同性介護をご希望でした。

 

お一人暮らしですが、すぐ近くに知り合いのおじいさんが住んでおられ、その方が日々の介護を担っておられるということでした。

 

その関係性は不明です。

 

ただ、いつも訪問で伺うとそのおじいさんが来ておられます。

 

その方のセクハラにヘルパーが悩まされていました。

 

触ってくるなどは日常茶飯事、ひどいときは抱きつこうとされることもあります。当然ヘルパーは毅然とした態度で拒否しますが、どうも、ご自身ではセクハラだとは思っていない。女性はそのように扱うものだと勘違いしているようでした。

 

「今日は可愛いね」「今度一緒に旅行に行こう」「今日の業務が終わったら、あとで付き合って」など…。

「もういい加減にしてくださいっ!」帰り際に大きな声で言ったら、あとで事業所に「なんだ、あのヘルパーは。礼儀もわきまえていない。違うヘルパーに来てもらってくれ!」と怒りの電話がありました。

 

事業所内で各ヘルパーの聞き取りを行い、会議の場を設け、被介護者の方には申し訳ないけれど、撤退することになりました。

 

でも現場を知らない本部からは、各々のヘルパーの対応が下手なのでは? その場をうまく切り抜けるのも仕事だろう? もっとひどい現場もあるのに…等々言われました。

 

だからお客さまは神様じゃあないって! お互いに認め合ってこその現場だろう!

と一人愚痴る毎日を送りました。

 

介護現場のカスハラ その1

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最近話題のカスハラについて、介護現場からのお話です。

家族の方は「お金を払ってみてもらっているから、やってもらってあたりまえ」と思っていらっしゃいます。

 

介護保険では、例えば訪問介護の生活援助で考えてみても玄関の掃除やサッシの掃除、庭掃除等々は保険で賄うことはできません。

 

でも家族の方は、窓ガラスが汚れていたり、サッシのレールにホコリが溜まっているだけでもクレームをつけてこられることがあります。

 

気持ちがわからないわけでもないですが、いちいち、介護保険ではできない旨を伝えることになります。

 

説明して納得してくださる家族の方ならいいんですが、かなりな暴言を吐かれることもあります。

 

こっちは金を払ってるのになぜできない!こんなヘルパーなら来てほしくない!などと事業所へ電話が入ることもあります。

 

ヘルパーの中には、クレームを避けるためにしなくていいことまでやってしまう人もいるため、混乱が増えてしまいます。

 

職場内で同じサービスができるように職員同士で話し合いもしますが、声を荒げて恫喝するようにクレームを言ってくる家族の方がおられると、気の弱いヘルパーならつい介護保険外のことまでやってしまいかねません。

 

サービス業はどこも似たような状態だと思いますが、決して「お客様は神様」ではないことを事業所の方でも考えて対応してほしいと思うのは私だけですかね。

 

 

認知症高齢者と家族

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認知症を発症した高齢者について第二弾です。

 

一般的に高齢者の認知症は短期記憶に問題がある場合がほとんどですと書きました。

反対に、長期記憶には問題がないことが多い。

子どものころの記憶など、細部にわたって覚えておられる。そして、それらを覚えているのだから、自分は認知症ではないと結論付けられる方もおられます。

 

認知症の方が入所してこられると、新しい環境に慣れるまでが大変です。一般的に認知症状がなくても、環境が変わると一時的に混乱して認知症状が出る場合もありますが、たいていの場合、施設での生活に慣れてくると、徐々に症状は消えていきます。

 

ところが認知症の方だと、慣れていただくのが一苦労です。

 

でもとにかく、これからはここで生活していただくわけですから、なんとかしてできるだけ支障のない日常をおくっていただく必要があります。

 

やっぱりコミュニケーションです。

 

長期記憶に問題はないことが多いので、出身地や家族のこと、若いころの生活など、できる範囲で情報を集め、そのころの話を引き出していくというのはとても有効だと思います。

 

そのためにもヘルパーとして、歴史というか、昔の生活様式を知っておくのはとても重要ですよ。「こどもをおんぶして、川で洗濯したの」なんて言われると「へえ…」ではなく「昔はそうだったんですね。洗濯できる場があって、石の上で汚れを落としたり、洗濯板を使ったりしてね…」。それだけで話が進むことがよくあります。

 

硬かった表情がいつの間にか笑顔が増え、話も弾むようになると、ヘルパーになってよかったと。仕事に誇りを持てるようになりますよ。

 

今日も ハナマル! 

 

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認知症高齢者と家族

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認知症を発症した高齢者と同居家族との関係について考えてみたいと思います。

 

一般的に高齢者の認知症は短期記憶に問題がある場合がほとんどです。

もちろんそれ以外にも、原因によってはさまざまな症状があります。

 

ここでは原因や、その症状などの医学的なことでなく、介護者からの話として聞いてください。

 

先日、認知症を発症した親と同居している家族の方から相談を受けました。まだそれほど認知が進んでいないようですが、それでも同居家族からすると大きな負担がのしかかってきています。

 

何度も同じことを聞かれる。「今言ったばっかりでしょ!」と声を荒げてしまう。「食事をまだとっていないなどと言われると、食べたでしょっ!」と。

「家族だからこそ声が大きくなるし、腹も立つのでしょう。私たちヘルパーは仕事と割り切っているから優しく声掛けができるのですよ」と申し上げました。

 

そう、家族だから、元気でしっかりしていた親の記憶があり、発症した認知症状を受け入れない。それに仕事として接する私たちヘルパーと違い、24時間気が抜けない家族のこれからのことを思うと暗澹たる思いがあります。

 

まず、話を聞きましょう。目を見て。正面から向き合ってみましょう。それだけでも安心されますよとお答えしました。

 

後日、その家族様から「この間はありがとう。少し優しくなれたような気がします」とおっしゃっていただきました。

 

ご本人の話を聞く以上に、同居家族のお話もよく聞いて、少しでも家族の方に寄り添って力になれたら、手助けが出来たらと節に思います。

 

症状が進めば、その都度考えていきましょう。隠さずに、恥ずかしがらずに相談してください。一緒に考えていきましょう。